バンドの音作りをしよう!

バンドの中で「音作り」は非常に大切な要素です。

それぞれの楽器の音はもちろん、バンド全体の音のバランスを整えることで、より聞きやすい音を作ることができます。
逆に、「せっかくの練習したのに、音が悪かったor自分の音が聞こえなかった!」となってしまう可能性もあります。

スタジオに入る前には、こちらを参考にして、バンドの音作りをしてみましょう!

音量バランス

まずドラム全体の音量バランスは、【バスドラム>スネア>ハイハット】となっています。
こちらの音量バランスが逆になっている(ハイハットが1番大きい)というケースが多いので、ドラムの方は意識して叩きましょう。

このドラムバランスが出来ている場合、ベースはバスドラム・ギターはスネアの音量に合わせると全体のバランスが良くなります。
(もしバスドラム自体が小さい場合には、ベースは気持ち大きめにするなど、場合によって調整)

ボーカルに関しては、気持ちよく聞こえるまで上げたいですが、部屋の広さなどによって出せる音量の限界があります。(上げすぎるとキーンとハウってしまう)

もしボーカルが聞こえない場合には、楽器帯全体の音量を抑えましょう。また、ギターはボーカルよりも音量を出さないように注意しましょう。

音域帯(EQ)について

音域帯 低音域
BASS/LOW
中音域
MIDDLE/MID
高音域
TREBLE/HIGH
効果 重低音が効き、音が太く芯がでる 1番聞こえの良い、重要な部分 音抜けがよく、際立って聞こえる
上げすぎ モコモコとこもった音になる 他パートと渋滞する キンキン耳が痛くなる音になる
下げすぎ 音が軽く、物足りなくなる 音がスカスカになる 抜け感がなくなる

音には高音域と低音域、その間に中音域があり、これらを調節する機能のことをEQ(イコライザー)と呼びます。

CDで曲を聴くと、1つのスピーカーからボーカル・ドラム・ギター・ベースなど複数の音が同時に聴こえますが、こちらは楽器のそれぞれの音域帯がズレているのも理由の一つです。

逆に、全ての楽器の音域帯が同じだった場合には、それぞれの音が聞こえづらくなってしまうため、それぞれの音域帯を被らせずにズラす必要があります。

(音域帯は各パートで調整可能)

各パートの音作り

こちらでは、各パートの「失敗しない音作り」を紹介していきます。

ギターの音作り

下げる 上げる
TREBLE キンキン耳が痛い 音がこもっている
MIDDLE ボーカルが聞こえない ギターが聞こえない
音に厚みをつけたい
BASS モコモコ音がこもっている
ベースが聞こえない
音が軽い
GAIN 音がこもって聞こえない
もっと優しい音にしたい
音が軽い
もっと激しくしたい
VOLUME その他パートが聞こえない メンバーが聞こえない場合

ギターの音は、楽器・弦・機材・スタジオの広さなどによって大きく変わるため、「この設定にしましょう」というよりは、「まずはフラットにしておき、状況に合わせて調節」という考え方がおすすめです。

  1. EQは全て12時に設定し、上記の状況に応じて調節してみましょう。(上げすぎ注意には!どちらも14時以下に収める)
  2. TREBREに関しては(特にマーシャルは)キンキンしやすいため、かなり絞ってもOK
  3. GAINは上げるほどに音が細くボヤけてしまい、全体で合わせるとかき消されることもあるため、歪ませすぎには注意です。
  4. VOLUMEを上げるのは最終手段。また、上げる際には周りに「ギター聞こえますか?うるさくないですか?」など声掛けをするとベストです。
ピックアップ

音質 おすすめ
リア 高音寄り。一番鋭い感じで輪郭がはっきりとしており、ジャキジャキとした印象の音 リードギター・ロックバッキング・イントロ・ソロ
センター リアとフロントの中間。ある程度音の太さを保ちつつも輪郭を残したきらびやかな印象の音 バッキング・クリーンでのアルペジオ・カッティング
フロント 低音寄り。甘く温かみがあるサウンドで、どちらかというとモコモコした印象の太い音

ピックアップとは「弦の振動を電気信号に変える機器」です。
セレクターにて「どちらのピックアップで音を拾うか」の切り替えができ、そちらによって音質を変えることができます。
(ギターによってピックアップの数などが違います。)
基本的にはセンター推奨。音をハッキリさせたい場合にはリアがおすすめ。
こちらも正解がありませんので、実際にピックアップを切り替えながら、演奏に合ったピックアップを探してみてください!

ギター2本の場合

ギターが2本あり、どちらかのギターの音が聞こえない場合には以下を参考にして見てください。

  1. EQの調整(上記画像参照)
  2. 両ギターの音量を同じ位に合わせる(音が大きい方のボリュームを絞る)
  3. アンプから離れ、自分側に向ける

EQに関して、バッキングはMIDDLEを抜いて、BASS・TREBLEを上げる、通称「ドンシャリ」に設定。MIDDLEが弱いため芯がなくなりますが、そもそもバッキングは「バンドサウンドに厚みを持たせる伴奏」的な役割なため、多少聞こえづらくでもバンド全体で見るとバランスが取れます。

一方リードギターはMIDDLEをグンと上げると、バッキングが邪魔をしないので音が抜けやすくなり、ソロやフレーズが聞こえやすくなります。TREBLEも上げると抜けやすくなりますが、特にハイフレットを引く時には耳がキンキンしやすくなるので、微調整してみて下さい。

なお、「聞こえない方のギターのボリュームを上げる」は非推奨です。全体の音が大きくなって耳が痛くなったり、ボーカルが聞こえないなどのトラブルになります。

ベースの音作り

ベースアンプはどちらのメーカーでも12時が最も良い音が出るようにセッティングされています。

そのため、基本は全て12時でOK。GAINは少し抑え気味の11時あたりに設定しましょう。

演奏しながら、以下を参考に調節しましょう。

  1. 低音が足りなければBASSを、ハイフレットが聞こえなければTREBLEを上げる
  2. 全体的に聞こえづらい→MIDDLE・ボリュームを上げる
  3. 音を優しくしたい→GAINを下げる
  4. 迫力が欲しい→GAINを上げる

なお、スラップでは上記の設定にすると、サム(低音)とプル(高音)を目立たせるメリハリのある音に出来ますが、演奏中にアンプのEQ調整は変更できません。

そのため、「数曲だけor一部のフレーズだけスラップがある」という場合には、設定はフラットにしておき、エフェクターで調整する方法がおすすめです。

ボーカルマイクの音作り

マイクはPAミキサーを使用して音作りができます。

それぞれのつまみの紹介をします。

ボリューム系

音量の調整は以下3つあります。

  1. マスターボリューム : 全体の音量調節
  2. ボリューム : チャンネルごとの音量調節
  3. ゲイン : 入力信号の音量調節

基本的には、マスターは-0-まで、GAINは10時位に。ボリュームは、マイクに声を入れながらちょっとずつ上げて調整します。

なお、上げすぎるとハウってしまうので注意です。

コンプレッサー(comp)

コンプレッサーとは声の大小の幅を抑えてくれる役割があり、それによりボーカルがクリアで聞きやすくなる効果があります。

具体的には、歌で声を張り上げてしまったり、アタック音が入ってしまったりなど、急に出てしまった大音量を制御して、小さい声との差を埋めることができます。

コンプレッサーの注意点は以下2つです。

  1. 全体の音量が下がるので、コンプをかけた時にはボリュームも上げる
  2. 声量での強弱が付けづらくなる
イコライザー

マイクにもEQが付いています。(多くはHIGH・MID・LOWの表記)

全てのEQを12時に合わせ、以下を参考に調節してみましょう。

  1. ハウったり高音がキンキンする▶︎HIGHを下げる
  2. 声の通りが悪い▶︎MIDを上げる
  3. 声がモゴモゴこもる▶︎LOWを下げる
エフェクト

カラオケのエコーのように、ボーカルにエフェクトをかけることができます。

各マイクのエフェクト量は「effect」と書かれたつまみにて調整。また、エフェクトの種類はミキサー右側にて変更できます。(ミキサーによって位置や表記が異なります。)

おすすめは「VOCAL ECHO」です。カラオケに近いエコーがかかるため使いやすく、歌に厚みが出て歌いやすくなります。

※それぞれエフェクトの違いは、時間がある時に試してみるか、YouTube動画などで研究してみてください。

※エフェクトをかけすぎると声の通りが悪くなったり、違和感が出たり、ハウりやすくなるため注意。

コーラス(ハモリ)のセッティング

コーラスマイクを使用する場合のおすすめセッティングを紹介します。(一般的なPOPSを想定)

  1. コンプレッサーを強めにかける
    声の強弱を無くせる
  2. MIDは0
    声の芯を抜ける

こうすることにより、ハモリ側のマイクの主張を抑えられ、メインボーカルを立てるハモリとなります。

ドラムの注意点

  1. 音量バランスに注意
    ・ドラムの音量はバスドラム>スネア>ハイハットの順に大きくなります。
    ・周りのメンバーはバスドラムでリズムを取っている
    ・ハイハットやシンバルは優しく叩いても大きな音が鳴る
  2. テンションで音量が変わる
    ドラムは叩き方や強さによって音量を加減できます。
    周りが演奏しやすいように調整しながら叩きましょう。
    (静かな所は弱く叩くなど)

聞こえない時まとめ

音が聞こえない場合、ボリュームを上げる前に以下をチェック!

音が聞こえない場合、まずは原因が自分ではないかを考え、改善しない場合に他パートにお願いしましょう!

(いきなり「あなたの音がうるさいから下げて!」というのはNG!)

ボーカルが聞こえない

▶︎ボーカルが原因の場合

  1. マイクに口を近づけて歌う
  2. スピーカーに向かって立つ
  3. ドラム・アンプから離れる
  4. ミキサーのTREBLEを下げ、MID・ボリュームを上げる

▶︎楽器側が原因の場合

  1. 全体の音を下げる
  2. ギターのミドルを下げる

ボーカルは聞こえない原因を探ることが重要。「ギターが大きくて聞こえない」であれば、アンプの向きを変えたりボリュームや音域を調整するなど対処が取れるようになります。

バッキングギターが聞こえない

  1. アンプ位置を自分の正面かつ遠くに移動させる
  2. GAINを抑える
  3. MIDDLEを下げ、TREBLE・BASSを上げる
  4. ボリュームを上げる

バッキングギターは伴奏(後ろ)ですので、基本はあまり音を上げすぎず、アンプの位置を調整してしっかり自分が聞こえるような状態にするのがベストです。

リードギターが聞こえない

  1. アンプを自分の正面に配置して少し遠ざける
  2. GAINを抑える
  3. ソロが聞こえない時はMIDDLEを上げる
  4. ピックアップを変える
    バッキング・カッティングはリア(音の分離がよくなる)
    ソロ・ハイフレットはフロントにすると聞きやすくなる
    センターはアルペジオなど

ベースが聞こえない

  1. ベース本体のボリューム、トーンをMAXにする
  2. アンプの向きを変える
  3. アンプの音域帯を全て12時にする
  4. BASSを下げ、MIDを上げる
  5. マイクのローを少しカットする
  6. ギターのBASSかボリュームを下げてもらう
  7. イコライザー:40~100Hzを下げ、200Hz~400Hz・4KHzを上げる

ドラムの注意点

  1. 音量のバランスに注意
    【バスドラム>スネア>ハイハット】
    逆になってしまいがちなので、意識して叩きましょう!
  2. 叩き方で大きく音量が変わる
    ドラムは自身で強弱の加減ができる楽器です。
    ギターソロ中は、ギターを目立たせるように叩くなどの配慮をしましょう!
  3. 金物系(シンバル)は注意!
    クラッシュシンバルやハイハットは抑えめに!小さく叩いても大きな音が出ます!

音作りのコツまとめ

①ボーカルに合わせる

ボーカルマイクの音量は、部屋の大きさや機材によって限界が決まっています。

楽器隊は、ボーカルが聞こえやすいように合わせて音作りをするとGOODです。

②ボリュームは最終手段

「音が聞こえないからボリュームを上げる」という一見当たり前のようですが、実はこちらは最終手段になります。

ボリュームが出ているのに聞こえないのには他に理由があり、他に理由があるのにボリュームを上げてしまうと全体の音を潰したり、ボーカルが聞こえなくなったりしてしまいます。

③音作りは”下げる”

EQに関しても、基本的には「足りないから上げる」のではなく、「他を下げる」という対策ができるとGOOD!

  1. 高音域が足りないなら、TREBLEを上げるのではなくBASSを下げる
  2. 音がボヤけてしまうなら、MIDDLEを上げる前にGAINを下げる

など、音作りの基本は引き算と覚えておきましょう。

また、どちらのEQつまみも上げすぎには注意!12時をベースに、10〜14時の間で調整すると失敗が少なくなります。

④立ち位置を変える

同じスタジオ内でも、立ち位置によって聞こえ方が変わってきます。

特に多いのが、ギターがアンプの近くに立っているということ。ギター本人はアンプに近く、自分の腰あたりに音がぶつかって聞こえないが、周りのメンバーは聞こえているという光景がよくあります。(その結果ギターのボリュームを上げて、うるさくなってしまうなんてことも)

アンプはできるだけ遠ざけたり、向きを変えてみたりと、立ち位置やアンプの位置・向きにも気をつけてみてください。

⑤みんなに聞く

音作りで非常に大切なポイントは「みんなに聞く」ということです。

同じスタジオ内にいても、立ち位置で大きく音が変わります。

そのため、自分だけでいくら音作りを頑張っても、解決しません。

「自分の音はうるさくない?聞こえる?」

と聞くことで、今の音が大きいのか、もう少し出していいのかが明白になります。

バンド全体でコミュニケーションを取りながら、相手に配慮しながらバンドを作っていきましょう!

ちなみに、いきなり他パートに指示を出すのはNG!まずは自身の音が原因ではないか確認して、それでも改善しない場合に優しくお願いしてみよう!