一通り基本的な叩き方のパターンを覚えたら、きっとほとんどの方が曲の練習をしてみたいと思いますよね。
「あの曲を叩いてみたい!」「今の自分でどのくらい曲になるんだろう?」など曲に挑戦してみたい理由は様々ですが、とにかく曲が叩けるようになるというのは一つの到達点であり初心者の方がまず最初に目指すところだと思います。
しかし、実はこの段階が楽器に対しての挫折などを起こしやすい少し危険な時期でもあります。
この時に一番初めに練習する曲のチョイスを間違えてしまうと、あまりの難しさに心が折れてしまい「あ、これはドラム無理だわ笑」というふうな思考に陥ってドラムから離れてしまいやすいのです。
もちろん自分の好きな曲を演奏するために練習してきているはずなのでやってはいけないというわけではありませんが、曲練習にも段階がありますので、まずは簡単な曲でも一曲叩けるようになることで自信につながり、「自分の練習は間違っていなかった!」というように後々の練習意欲にも大きく影響を及ぼしてくれます。
そこで今回は、ドラム初心者の方が初めて曲練習をする際に、コピーすることでより自信がつくようなおすすめな曲をいくつかまとめてみたいと思います。
もちろんここに書く曲からじゃなくてもいいですが、一つの参考としてみていただけると幸いです。
目次
初めての曲はどんな曲がいいの?
ここにあげる曲以外にも叩きやすい曲といのはたくさんあるのですが、ではどのような基準で選ぶと簡単な曲に当たりやすいのかということを書いていってみたいと思います。
テンポがあまり速くない曲
練習曲を選んでいく際にまず注目したいのが、「曲のテンポ」です。
ただの8ビートでも速いテンポで叩くのとゆっくりのテンポで叩くのではやはり難易度は速い方が高くなります。
あまりにもテンポが速いと右手のハイハットがついていけず、力任せにやって変な癖がついてしまったりすることもあるので、まずはゆっくりな曲から練習することで今まで練習してきた基本的なパターンを自分のできる範囲の速度で実践していくことができます。
後々速い曲を叩く機会は絶対に出てくるので避けては取れない道ではあるのですが、初めに安易にそのような曲に挑戦してしまうと、「え、まず右手だけでもついていけないんですけど…」というようなことになり挫折の大きな原因になってしまうことがありますので、初めてやる曲としては絶対に避けた方がいい条件になります。
もちろんテンポがゆっくりならなんでも簡単というわけではありませんが、多少難解な手順のフレーズだったとしてもテンポがゆっくりならそれっぽくついていくこともできるでしょう。
自分の右手がハイハットを叩くのが疲れない速度を基準にそのくらいの曲から選んでいくといいと思います。
バンド編成の曲
これは一見すると意味がわかりにくいかもしれませんが、どういうことかというと「バンドとして活動しているアーティストさんの曲」という意味です。
特にガールズバンドの曲や歌モノの曲はそのバンドメンバーの実力に合わせて作ってあったり、歌を邪魔しないようにシンプルなフレージングになっていたりするので叩きやすいものが多いです。
逆に、「一人で活動しているシンガーソングライターさん」の曲や、「そのバンドにドラマーがいないアーティストさん」の曲は非常に難易度が高いケースが多いです。
これらのアーティストさんは、レコーディングやライブの際にドラムを「サポートミュージシャン」という方々に依頼をします。
このサポートミュージシャンというのは、いわゆる「楽器の腕だけでお金をもらい飯を食っているガチガチのプロミュージシャン」の方々のことです。
そんな人たちがレコーディングしているわけですから、当然次の仕事につなげるために自分の実力を遺憾なく発揮してくるわけです。
テンポが遅い曲でも手数の多いフレーズが多かったり、すごく速い曲を簡単に手数の多いビートで叩いていたりしますので、おそらくどんなに練習しても最初の段階では手も足も出ないと思いますので避けた方がいいでしょう。
バンド初期の曲
みなさんが普段聴いているアーティストさんたちも、日々練習を重ねてどんどん上手くなっていき、大きなステージでライブをすることでたくさんの経験値を得ながら成長していっています。
それは初心者でも経験者でも同じなので、アーティストさんたちもデビュー当時より今の方が断然うまいわけです。
そのため、同じバンドの曲でも初期の頃よりも新しく発表した曲の方が難易度が高くなるケースが多いです。
もちろん初めから演奏力が認められてデビューをしたバンドさんもたくさんいらっしゃいますが、逆に初期の頃は演奏技術も未熟だったけどルックスや個性などの演奏技術ではない部分が評価されてデビューしたアーティストさんもたくさんいます。
そんなアーティストさんたちの初期の曲は初心者の方でも基本的な技術があれば叩ける楽曲も多く存在しているのです。
したがって、割と新し目の曲よりもそのバンドのデビュー曲や初期にリリースされた曲の方が難易度が低く、初心者の方が練習する際にはいい場合が多いのです。
ボカロ/アニソンは不向き
最近ではボーカロイドやアニメソングも高い人気がありますが、これらの曲も初めてコピーする曲としてはあまりおすすめしません。
アニメソングに関しては、タイアップの曲などに関しては一般的なバンドの曲が使われたりすることも多いのでその辺ならやってみてもいいものはあるかもしれませんが、ボーカロイドに関しては「打ち込み」という製作方法で作られているため、パソコン上などで入力することで音を出すという手法がとられています。
つまり、「人間が叩く用に作られた曲ではない」ということなのです。
機械ならただ指定された音を指定されたタイミングで出力すればいいだけですが、本物のドラムにはタム(太鼓)やシンバルの位置がある程度決められているため、「このタムの順番はどういう手順で叩くんだ?」と思うような変なフレーズも関係なしに出てくる場合があります。
それに対して実際に人間がちゃんと叩いている曲は本人たちも叩きやすいようにフレーズを構築していますのでちゃんと理にかなったフレージングがされているものがほとんどです。
そのほうが自分自身にとっても練習になりますし、何よりそのようにして構築されたフレーズは後々自分自身の引き出しになってくれます。
したがって、ボカロ/アニメソングの曲も絶対に叩けないというわけではありませんが、最初に練習する曲としてはできれば避けた方がいいかもしれません。
初心者の方でも叩いやすいおすすめ曲
それでは実際に、筆者が1000曲近くコピーしてきた中で「これは初心者の方でもいい練習になるな」と思った曲をいくつか挙げてみたいと思います。
マリーゴールド(あいみょん)
今や国民的人気を誇る女性シンガーソングライターですね。
彼女の代表曲でもあるこの曲はテンポもゆっくりですしフィルもシンプルで手数は少なめですので、初めて練習曲としてはピッタリかなと思います。
またこの曲は非常に有名なので、叩けるようになったら「私あいみょんのマリーゴールドのドラム叩けるんだー♪」と友達にも自慢できるでしょう。
小さな恋のうた(MONGOL800)
言わずと知れた沖縄出身のバンドMONGOL800の代表曲です。
たくさんのアーティストさんからもカバーされており、ライブなどで演奏するとまず間違いなく盛り上がりを発揮します。
曲としては非常にシンプルなビートパターンとフィルで構成されているので簡単なのですが、テンポはそれなりに早いです。
特にバスドラムのダブルを速いテンポで踏まなければいけなくなってきますので、もしどうしても踏めない場合は一発にだけに変えてしまってもいいかと思います。
Funny Bunny(the pillows)
この曲は人気少年漫画の「SKET DANCE」のアニメの中で主人公たちが文化祭の際に演奏したことで、アニメ好きの方は聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
テンポわりとゆっくりでで基本のビートパターンが裏打ちになっていますので、裏打ちの練習曲としては最適ではないでしょうか。
他のパートも非常に簡単ですので、初心者の方同士でバンドを組んだ際にもぜひ練習してみてほしい曲の一つですね。
secret base~君がくれたもの~(ZONE)
一斉を風靡したガールズバンド「ZONE」の代表曲で、こちらも様々な場面でたくさんの人にカバーされている曲です。
バラード曲ですのでテンポも遅く基本もまっすぐな8ビートですのでシンプルですが、ちょっとした曲中のフィルで6連ぷのフレーズが出てきたりして練習していて飽きがこない曲です。
余裕があれば口ずさみながら叩く練習をしておくと、いざという時にドラムコーラスとして入ることもできるかもしれませんね。
少女S(SCANDAL)
人気ガールズバンド「SCANDAL」がデビュー間もないときにリリースした代表曲です。
シンプルな8ビートとサビでは裏打ちのパターンに変わったり非常に実践的な楽曲になっています。
速度自体はそんなに早くはありませんので、ビートが変わるところのつなぎ部分をなめらかになるようにと、他の楽器と合わせるキメ部分をビシッと決められるように練習すると良いでしょう。
ずっと好きだった(斉藤和義)
長年トップそ走り続け、コアなファンから絶大な人気を誇るシンガーソングライターで、この曲を耳にしたことのある人も多いのではないかと思います。
テンポも早すぎず遅すぎずちょうどいい練習になるテンポで、基本の8ビートとちょっとしたフィルが叩ければ初心者の方でも簡単にコピーすることができます。
若い方だけでなく、この曲がど真ん中な世代でこれからドラムを始める方にもぜひオススメな一曲ですね。
GIVE ME FIVE!(AKB48)
人気アイドルグループのAKB48が実際にバンド演奏をするということで話題になった一曲です。
本人たちが実際にテレビやコンサートの際に演奏するということから考えても難易度は低めに設定されていると思います。
CD音源ではテンポの速い8ビートが叩かれていますが、本人らが演奏する際には4ビートが使われていますので最初は全てのビートを4ビートに直してしまい、慣れてきたら8ビートに挑戦するなんていうのもいいかもしれません。
一曲弾けるよになったら
練習を重ねて何か一曲弾けるようになったら、多くの方が他の曲も練習してみたいと思うと思います。
それも自分のドラムの引き出しを増やすことにとっても大切なことですが、それ以外にも練習しておくといいことがあります。
例えば、「前を見ながら叩けるようにする」ということや「叩いている時の表情を気にしてみる」などです。
ドラムを練習していくうちに、もしかすると誰かと合わせたりする場面が出てくるかもしれません。
そんな時、「下ばかり見て無表情で楽器を演奏している人」と「バンドメンバーとアイコンタクトを取りながらニコニコ笑顔で演奏している人」だったら、どちらと一緒に組みたいと思いまか?
きっとほとんどの方が後者と答えるはずです。
ライブにもし出るとなった時にも、見ている観客の方は実力だけではなくドラムに座った時の姿や叩いている時の表情などいろいろな面を見てあなたのドラムを評価してくれます。
もちろんドラム自体が上手いことに越したことはありませんが、それにはまだまだ努力が必要なのが始めたばかりの初心者の方々ですよね。
でも、笑ったり楽しそうにするというのは人間として普段からやっていることだと思いますので、それは今すぐにでもできることなのです。
実力ががまだまだ足りない分、今の自分にできることを一つ一つやっていくだけでそれを意識していない周りの人と差をつけることができますので、そんなこともぜひ考えながら練習に取り組んでみるとよりいいでしょう。
まとめ
今回はドラム初心者の方にオススメの練習曲をまとめてみました。
曲が一曲叩けるようになるということは、今まで自分のやってきた練習が間違っていなかったという証明になりますし、その先ドラムを続けていく上での自信にもつながります。
ここでは初めての曲練習でもつまずかないような難易度のものをいくつかピックアップしましたが、もちろん自分の好きな曲から練習してみるということも間違いではありません。
実際好きな曲で練習した方がモチベーションも高く練習できるということも事実だと思います。
でももしその自分がやってみたい曲をやってみて、どうしても難しくて心が折れそうになってしまった時は、ぜひこれらの曲を一回練習して「自分にはちゃんとドラムを叩ける力がついてきてるんだ」ということを実感していただければ、その時叩けなかった曲に対してもドラムに対してもモチベーションが落ちずに居られるのかなと思います。
初めて演奏する曲は今後のドラマーライフに大きな影響をもたらしますので、初心者の方の参考になれば嬉しいです。