バンド内の縁の下の力持ち的な存在であるベース。
見た目はギターを大きくしたような感じなので、同じように弾くんだろうと思っている方も多いのでは無いかと思います。
実はベースとギターは同じような形をしていますが、基本となる弾き方はかなり違います。
特にベースは多彩な弾き方があり、それぞれの弾き方で音のキャラクターもガラッと変わってきます。
ベーシストは曲の雰囲気に合わせて、どの奏法をチョイスするのかということを考えて弾くことが多いようです。
そこで今回は、ベースにおける最もポピュラーな奏法を3種類紹介してみたいと思います。
ベース王道の奏法3種類
ベースの弾き方というのは大まかに分けると3つのパターンに分けることができます。
ギターは「エフェクター」という、出音に様々な効果をもたらす機材を使用する場合が多いのですが、ベースの場合はあまりエフェクターを使わない分、奏法によって出音のキャラクターを大きく変えています。
それでは大まかな3つの弾き方を紹介していきます。
指弾き
現代の多くのベーシストが使っている弾き方で、文字通り自分の指を使って弦を弾いていきます。
柔らかい「指」というものを使って弦を弾くため、出音の印象も自ずと柔らかく丸みのあるキャラクターの音を奏でることができます。
また、自分の指を使うことで直に自分の皮膚感覚で引っかかり具合や力加減を調整できるのがメリットと言えます。
特にポップスやジャズなどでは、あまり攻撃的な音が好まれない傾向があり、輪郭の丸い音が出る指弾きが好まれています。
一般的によく使われる弾き方としては2フィンガーという人差し指と中指を使った弾き方になります。
まず、親指をグーサインのように突き出し、ベースの弦の下にあるピックアップ(黒い棒状のもの)に乗せます。
プレシジョンベースの場合だと載せるピックアップは1つのはずですのでそこに乗せるしかありませんが、ジャズベースの場合はピックアップが2つあると思います。
どちらに乗せても問題ないのですが、一般的にはネックに近い方のフロントピックアップの上に乗せる方が多いように感じます。
この時手のひらがべースノボディおもて面に対して平行になるような向きで親指を乗せましょう。
そこから人差し指と中指だけ握った状態から開きます。
その2本の指(人差し指と中指)で弦を弾いていくという弾き方です。
指弾きの場合、3弦を弾いた後にはその弾いた指は4弦につくようにします。
同じように2弦を弾いたあとは3弦に、1弦を弾いた後は2弦に指をつけるようにします。(上の弦まで弾ききるというような感じ)
そうすることで自然と他の弦のミュートもできる様になり、弾いた時の音も良くなります。
この様に、弾いた後にその弾いた弦の一つ上の弦まで指を弾ききる奏法のことを「アポヤンド奏法」と言います。
弦の弾く位置としましては、中指と人差し指を下に伸ばした位置から少しボディお尻側に傾けた位置で弾く様にします。
なぜ少し傾けるかというと、そうすることで本来中指と人差し指の長さが違うところを揃えることができます。
長さが揃うと弦への指の引っかかり方や力加減も揃いやすいので音の粒がまとまりやすくなります。
慣れてくれば真っ直ぐしていても指の引っかかり方が同じになるように調整できるようになりますが、最初のうちはそのようにしておいて同じ引っかかりで弾ける感覚を養っていきましょう。
ピック弾き
指弾きと並んで多くの人が実践しているもう一つの弾き方が、このピック弾きです。
指と比べると硬い素材であるピックというものを使って奏でる音は、音質も少し硬めではっきりとした輪郭が特徴的な音になります。
ピックを使うことで指弾きよりも手数が出しやすいので、速い曲にも対応できる弾き方になっております。
疾走感や攻撃的な音を奏でたいというようなロックやパンク、スピードの速いメタルなどでは好んで使われている弾き方です。
ピック弾きは使うピックの素材や厚さ、硬さや形でも少しずつ音に違いが現れますので、その辺もピック弾きが慣れてきた人は変化を加えたりするととっても面白い奏法です。
また、ピック弾きはベースをかき鳴らすような弾き方ですので見た目も少し荒々しい感じでそれが非常に魅力的です。
ピックは大きく分けると「おにぎり型」と「ティアドロップ型」の2つの種類がありますが、ベースのピック弾きで使われるピックは一般的にはおにぎり型が多いです。
硬さもいろいろな硬さがありますが、ベーシストが好んで使うのは硬めのものが多いようです。
人差し指と親指でピックを挟み、挟んだところから5mm~1cmくらいピックが出るようにしましょう。
弦に対してピックを平行に当てるように弾くことを心がけ、斜めにあたったりしないようにしましょう。
ピックが斜めに当たってしますと、「ガリっ!ガリっ!」とピックを削るような音が強く出てしまい、音が悪くなってしまいます。
また、ピックを強く持ちすぎてしまうと弦を引っ張るような弾き方になってしまいます。
あくまでピックを持つ力は優しく持ち、弦を弾いた際にピックで弦を引っ張らないようにしましょう。
スラップ(チョッパー)
ベーシストの誰しもが一度は憧れるであろう奏法がこのスラップです。
現代ではスラップという呼ばれ方が多いですが、一昔前では「チョッパー」という呼び方がされていました。(どちらも同じ奏法のことを指しています。)
伝説的ベーシストである「ラリーグラハム」が生み出したとされている奏法で、ベースの音にパーカッションの要素を取り入れることで特徴的な音を奏でたことで当時のベース界に革命を起こしました。
ベースの弦が指板(正確にはフレット)にぶつかることでスラップ独特のあの「バチン!」という音を奏でることができます。
音楽ジャンルでいうと特にフュージョンなどの音楽では好んで使われ、そのパーカッシブなベースとドラムの絶妙なグルーブ感がクセになります。
スラップというのは「サムピング」と「プラッキング」という23つの弾き方を組みあさせて弾くことでスラップになります。
サムピングというのは、弦を叩くことによって弦を指板に当てて実音とスラップの打音を出すという方法で、一般的に弦を弾く方の手の親指を弦に当てることで音を出していきます。
手の形を👍の形にしたら、その親指を弾きたい弦に対して平行に並べます。(手のひらはボディ表面に向き合うようにします)
そのまま自分の弾きたい弦に親指をバウンドさせます。
この時に、弦を叩こうと思って弦に設置している時間が長くなってしまうと自ずとミューを状態になってしまうため音がなりませんので、当てたらすぐに弦から離してあげる必要があります。
かといって叩くのが優しすぎると弦が指板に当たってくれないため、スラップ特有のパーカッシブな音が出ません。
強く押さえつけるのではなく、あくまで弦に当たる瞬間にだけ力が集約するようにし、弦の上を親指がバウンドするようなイメージで何度も挑戦してみましょう。
またサムピングの中にも、「跳ね返り型」と「振り抜き型」の2つの種類が存在します。
跳ね返り型というのは純粋に弦の上を跳ね返る(バウンドする)という形で音を出す弾き方です。
振り抜き型というのは弾きたい弦の一つ下の弦(4弦を弾きたいなら3弦というような感じ)まで振り抜いて弾く弾き方になります。
この2つは場面によって使い分けることが必要になります。
具体的には、
- 直後に弾く音がサムピングの場合→跳ね返り型
- 直後に弾く音がプラッキングの場合→振り抜き型
というような使い分けになります。
なので例えば、「サムピング→サムピング→プラッキング」という弾き方だった場合、「跳ね返り型→振り抜き型→プラッキング」という並びになるわけです。
このサムピングをまずは鳴らす、そして使い分けていくというのがスラップの最大の関門になります。
プラッキングに関しては、弾きたい弦を人差し指で引っ張って弾くだけなので、これは誰でも「バチン!」という音が出ると思います。
また、スラップ奏法が得意なベーシストとして非常に有名なのが、Red Hot Chili Peppersのベーシストである「フリー」です。
彼はここで上げた基本のスラップのやり方ではなく、独自の「フリースタイル」と呼ばれるスラップの仕方で多くのオーディエンスを魅了してきました。
そこからフリースタイルのスラップに憧れる方も多いと思いますが、初めのうちはここで上げた基本のやり方が初心者の方にはやりやすいと思いますので、そちらで練習をしてみてください。
ネックの握り方
今度は音には直接的な関係はありませんが、ネックの握り方の種類について解説をしてみたいと思います。
大まかに分けるとネックの握り方には「ロックスタイル」と「クラシックスタイル」の2つの種類があります。
どちらも良さと悪さがあり、演奏スタイルや場面によって一曲の中でも使い分けていきます。
それぞれの意義理方の特徴について書いてみたいと思います。
ロックスタイル
ベースのネックを握りこむようにして持つのがロックスタイルです。
エレキギターではよく使われる握り方で、しっかりと持てる分安定感があります。
そのため、激しく動いたりネックを振り周りたりするようなパフォーマンスの際にはこの握り方が非常に有効です。
しかし、安定感がある分指の開きなどは少し制限されるような感じで、テクニカルな指の運びなどにはあまり向いていません。
クラシックスタイル
ベースを弾く際にはこのクラシックスタイルというネックの握り方が一般的には多いです。
ネックの裏側に親指を立てにまっすぐ添えて、ネックを挟むように持つ持ち方になります。
挟むような持ち方になりますので、安定感はロックスタイルに比べて劣りますが、指の開きや動かしやすさはクラシックスタイルの方が上です。
ベースはギターに比べるとフレットが大きく指もより開く必要があるため、しっかりとフレーズを丁寧に弾ききりたい時にはこの握り方の方がいいでしょう。
オルタネイトピッキングについて
ピック弾き、指弾きの2つに関して、「オルタネイトピッキング」という言葉がよく出てきます。
このオルタネイトピッキングというのは練習や演奏の際にも非常に重要なものとなります。
まずピック弾きに関してですが、ピックで弦を弾く際に上から下に弦を弾くことを「ダウンピッキング」と言います。(↓)
逆に、下から上に弦を弾くことを「アップピッキング」と言います。(↑)
そして、この2つのピッキングを交互にやることを「オルタネイトピッキング」と言います。
また指弾きに関しては、2フィンガーの場合中指と人差し指を交互に弾いていくことを「オルタネイトピッキング」と言いいます。
要するにオルタネイトと言われた際には、「交互に弾く」という意味になります。
このオルタネイトという概念は、指弾きにももちろん使いますが、どちらかというとピック弾きの時に使う場面が多いです。
リズムによって空ピッキング(弦を弾かずに振るだけ)を使うフレーズを弾いていく場合、そのからピッキングがダウンでやるべきなのかアップでやるべきなのかをこのオルタネイトピッキングを基準にして考えていきます。
この言葉の意味を知っておくだけでも練習の時に重宝しますのでぜひ覚えておきましょう。
まとめ
今回はベースの基本的な弾き方をピックアップして書いてみました。
ベースというのはエフェクターなどを使わず非常にシンプルな設定で音を奏でていくことが多い楽器ですので、弾き方一つで音の印象はかなり変わってきます。
指弾きとピック弾きを使い分けてあげるだけでも、その違いは大きいので一緒に演奏するバンドメンバーもよりテンションが上がるのではないでしょうか?
自分自身もまずはエフェクターに頼るのではなく、自分の弾き方や腕で奏でる音に差がつけられるように練習することが、本当のうまさだと思います。
シンプルだからこそ奥が深いベースの弾き方、あなたも是非この3種類に挑戦してみてください。