エレキギター

ナチュラルハーモニクス

【ナチュラルハーモニクス・解説動画】

ポロ〜ンと高い音を響かせる手法です。

楽曲に使われる頻度は少ないですが、覚えておくとまた違ったテクニックを魅せることが出来ます。

練習フレーズ

学校のチャイムをナチュラルハーモニクスで弾いていく練習フレーズです。

自然に音が出せるように繰り返し練習してみましょう。

ナチュラルハーモニクスとは

ナチュラルハーモニクスとは、弦を押さえずに指でそっと触れ、弾くと同時に触っている指を離すことで「ポーン」という高くてキレイな音を出す手法です。

楽曲で使われている頻度はとても少なくはありますが、フレーズ中に入れるとインパクトがありますし、また普段しているチューニングにも利用できるテクニックです。

譜面上の表記
楽譜によっても変わりますが、ナチュラルハーモニクスは【h./N.h/Harm】のような記載がされています。

弾き方とコツ

ナチュラルハーモニクスの弾き方とコツをそれぞれ紹介していきます。ギターを持って実際に弾いてみましょう。

音は必ず歪ませる

ナチュラルハーモニクスを練習・演奏する前の注意として、ギターは必ずアンプに繋ぎ、音は必ず歪ませるようにしましょう。

ナチュラルハーモニクスの音はとても繊細な音がなりますので生音だと分かりづらいです。アコギであればそのままでも聞き取りやすいですが、エレキの場合には必ず歪ませて練習しましょう。

(アンプで歪ませる場合には、「GAIN」のつまみを上げると歪みます。12時の位置以上に上げればロックサウンドになりますので、より分かりやすくなります。)

弾き方1、指で触れる

まずナチュラルハーモニクスは

【12フレット>7フレット>5フレット】

の順に音が鳴りやすいので始めは12フレットで、また細い弦の方が分かりやすいので1弦から練習していきましょう。

 

普段は「12フレット」と言われたらフレットの中を指でしっかりと押さえますが、ナチュラルハーモニクスの場合にはフレット(鉄の棒)の上を人指し指でそっと触れます。

まずは試しにこの状態で弾いてみましょう。「ポーン」と金属音のような高い音が鳴りましたか??

上手く鳴らない場合には位置がズレているので、どこに触れれば音がなるのか指の位置をずらしながら微調整してみてください。「ポーン」と高い音が鳴る位置があるはずです。

2、ピッキングと同時に指を離す

弦を弾くと同時に押さえている指を離します。丁度いいタイミングで離すことで、「ポーーーーーン」と音がキレイに伸びます。

  • 離すのが早いと普通の開放弦が鳴ってしまいます
  • 離すのが遅いとミュートされてしまい、音が伸びません

ナチュラルハーモニクスは指を離すタイミングが重要なので、感覚を覚えるまで何度も練習していきましょう。

3、慣れてきたら

ナチュラルハーモニクスの難しいところは、頻度が少ないわりにはミスが目立つということ。

曲中でもサビ前や終わりなど、目立つところに置かれており、さらにもしミスると「ポーーーン」と出したい音が「カスッ」と鳴るので、特にギタリストからみたら「ミスったな!」とバレてしまいます。

また、1回ならキレイに弾けるかもしれませんが、曲中にいきなり出てきたり、ライブ中は暗い中で立って演奏するので意外にミスが出やすいです。

奏法自体は簡単な方ではあるので、いつでもどんな時でもしっかりと音が出せるように日々の練習に取り入れてみてください。

 

さらに、慣れてきたら、1本だけでなく複数の弦を同時にナチュラルハーモニクスする練習もしましょう。

「ポロロロ〜ン」ととってもキレイな音がします。

ナチュラルハーモニクスが出ない理由

どうしてもナチュラルハーモニクスが出来ない場合には、以下5つが原因になっているかもしれません。

  1. アンプに繋いでいない
  2. 触れている指の位置がズレている
  3. 触れている指の力が強すぎてミュートされてしまう
  4. 指を離すタイミングが早い
  5. 指を離すタイミングが遅い

もう一度動画を見ながら、出来るまで何度も調節しながら練習していきましょう。

原理

ナチュラルハーモニクスをとても簡単に説明すると、

「指で触れて弾くと同時に離すと高い音がポーーーンと鳴る」

という奏法なのですが、なぜそうなるのかも気になりますよね。

しかしナチュラルハーモニクスの原理はとても専門的な難しいお話になってきますので、こちらではかなりザックリと、分かりやすく紹介していきたいと思います。

イメージとしてでも知っておくことで「ナチュラルハーモニクスどんなものなのか」が分かりますし、応用もしやすくなるので、まずはチェックしてみてください。

倍音を出す奏法

ナチュラルハーモニクスを解説する上でまず知っておきたいのが「倍音」です。

倍音(harmonics)とは、楽音の音高とされる周波数に対し、2以上の整数倍の周波数を持つ音の成分。1倍の音、すなわち楽音の音高とされる成分を基音と呼ぶ。

とWikipediaにありますが、倍音を簡単に説明すると「音の中の高い音」です。

 

例えば6弦の開放弦を弾いてEの単音を弾いてみましょう。そこで鳴ったEの音の中には実は他の音程などが小さく混ざって出来ています。

その中の色んな音を省いて倍音(高い音)だけを取り出して鳴らすことが「ナチュラルハーモニクス」というイメージですね。

具体的には、6弦の開放弦を普通に弾いたEと12フレットのナチュラルハーモニクスで出したEはどちらも同じEの音階ですが、まったく聴こえ方が違いますよね。開放弦の方は「バイーン」とギター特有のEが鳴りますが、ナチュラルハーモニクスのEは「ポーン」と高い音が鳴ります。

ナチュラルハーモニクスはEの中に入っている低音や他の音階が省かれて残った音階というイメージです。

仕組み

ギターでは弦の振動を増やすことでナチュラルハーモニクスを出すことが出来ます。

分かりやすく画像で見てみましょう。

1、開放弦を弾くとこのように弦が振動します。

2、普通に押さえて弾くとこのように振動し、幅が短くなる分音階も変わります

3、ナチュラルハーモニクスをすると触れた部分に振動の節ができ、振動に波が出来ます。

そうすることにより、音階は変わらずに倍音だけを鳴らすことが出来ます。

押さえる位置により変わる

そのまま弦を弾いて鳴った音を「基音」と言い、弦の真ん中でナチュラルハーモニクスをした場合は2倍音、3分の1は3倍音、4分の1は4倍音と言います。

そして、張ってある弦の丁度半分の位置にあるのが「12フレット」、3分の1は「7フレット」、4分の1は「5フレット」となります。

物理的にはそれ以上の倍音が存在するのですが、ギターの弦で弾いた場合には波長が多すぎると音がなくなってしまうため、この波長は少ない方が音は鳴りやすいです。

なので、ナチュラルハーモニクスをするなら12・7・5フレットを使うという理由になります。

7フレットだけ音が違う理由

ナチュラルハーモニクスの音階を見てみると、開放弦と5・12フレットはどちらも音階が変わりませんが、7フレットでナチュラルハーモニクスをした場合には音階が変わります。

その理由をザックリ伝えると、「周波数が倍だと同じ音階になるから」です。

例えばギターの開放弦を弾いた場合のEの音階は330Hz。つまりその倍の660Hzも同じEとなります。そして、660Hzの倍である1320Hzも同じEとなります。

12フレットは2倍音なので330Hzの倍になり660Hz、5フレットは4倍音なので330Hzの4倍になり1320Hzになるため、どちらもEの音階になるわけです。

しかし7フレットは3倍音。330Hz×3倍音は990Hzなので、音階が変わるということになります。

ナチュラルハーモニクスの使いみち

ナチュラルハーモニクスはどんな時に使うものなのかも紹介していきたいと思います。

数ある楽曲を見てもナチュラルハーモニクスが使われている頻度は多くはありませんが、ギタリストには人気ですしアクセントとしてとても目立ちます。

是非マスターして、たくさん使っていきましょう。

チューニング

ナチュラルハーモニクスをマスターすると、簡単なチューニングならチューナーなしで行うことができます。

まずナチュラルハーモニクスの音階をおさらいすると、

となっていますが、例えば6弦の5Fと5弦の7FがEになっているように、他の弦でも共通する音階がありますよね。

つまり、2本の弦を弾き比べることでチューニングが合っているかを確認することが出来るんです。

実音でもチューニングは出来ますが、(例えば6弦の5Fと5弦の開放弦はどちらもAなので、そちらでもチューニングできます。)実音は他の細かい音も混ざっているため、ナチュラルハーモニクスの高い音で合わせた方がより分かりやすく正確にチューニングできます。

このナチュラルハーモニクスを使ったチューニングを実際にやっている人を見ると「おっ出来る人だな」なんて思ってしまったりします。

もちろん人の耳で合わせるよりもチューナーを使った方が正確に合わせることが出来ますが、それでもナチュラルハーモニクスを使ってするメリットがあります。

1つの弦だけチューナーで合わせて、残りはハーモニクスで合わせる

ナチュラルハーモニクスは、例えば2本の弦を合わせることは出来ますが、そもそも2つの弦のチューニングが合っていなければ意味がありません。

そこで、チューナーで1つの弦だけ合わせて、残りの弦はナチュラルハーモニクスで合わせるという方法があります。

6弦のチューニングを合わせたら、6弦5Fと5弦7Fのハーモニクスを弾いて、同じ音になるように5弦を調節する・・・といった具合ですね。

「それなら全部チューナーでやった方が早いじゃん!」

と思うかもしれませんが、チューナーを使わずにチューニングをすると音の感覚を養っていくことができます。

演奏中でも「あれズレてるかな?」とすぐに察知できたり、感覚でチューニングをしてしまえる人なんかもいますね。

ちょっと面倒かもしれませんが、やってみると意外に楽しかったりもするので是非挑戦してみてください。ナチュラルハーモニクスの練習にもなって一石三鳥です!

合わせるオススメの順番はこちら。

  • 6弦5F⇔5弦7F
  • 5弦5F⇔4弦7F
  • 4弦5F⇔3弦7F
  • 6弦7F⇔2弦12F
  • 2弦5F⇔1弦7F

1つの弦だけチューニングが狂ってしまった時に合わせる

例えば練習中はもちろんライブの演奏中などで何かの拍子に1つの弦だけチューニングがズレてしまうことが多々あります。

そんな時にチューナーをいちいち繋ぐよりも、1つの弦だけならナチュラルハーモニクスで合わせられたらとてもスマートですし、周りのメンバーを待たせることもありません。

チューニングが狂ってないか確認する

練習前などに、チューニングがズレていないかチェックすることにも使えます。

合唱団やオーケストラでも合わせる前に一斉に音を鳴らして確認するように、ギターも使用前にはズレていないかをチェック。

それもチューナーを使わずにできればとても便利です。

ナチュラルハーモニクスを使っている曲

ナチュラルハーモニクスが使われている楽曲などをまとめていきます。

1つ目は大ヒット曲の「紅蓮華/Lisa」ですね。Aメロからナチュラルハーモニクスがガンガン出てきます。

BON JOVIの有名曲ですね。知らない人も聞いてみたら1度は耳にしたことがある曲だと思います。ソロ前のサビの最後に出てきます。

人気アニメ&ゲームの「バンドリ!」に出てくるバンド「Roselia」の曲です。ナチュラルハーモニクスがガッツリ入っていて、定番のかっこいい使われ方をしています。

ゲームミュージックなど、神秘的な音を発見したらナチュラルハーモニクスを使うことでギターでも再現できます。

他にも合いそうな曲があれば試してみると面白いかもしれませんね!

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ナチュラルハーモニクスをキレイに出すのは初めは難しいかもしれませんね。また、1回だけならいいのですが何度も続くとぶれてきますしミスった時もかなり目立ってしまいます。

また曲中にいきなり出てきたり、ライブ中に弾くのは難易度高いです。何回もちょっとずつ位置やタイミングを調節していつでもキレイに出せるように練習あるのみです。

これは確かにそうですね!ナチュラルハーモニクスは「12フレット」ではなく「弦の半分の位置」にふれることで鳴るので、カポを付けるとナチュラルハーモニクスの位置が変わります。

ナチュラルハーモニクスは頻度も少ないですし結構地味なのですが、やり始めるとハマってしまいます。

ギターだけでなくベースでもナチュラルハーモニクスは出来ます。

まとめ

最後にナチュラルハーモニクスの弾き方をまとめていきたいと思います。

  1. 12フレット・7フレット・5フレットの上で行う
  2. 中でなくフレット(鉄の棒)の真上に触れる
  3. ピッキングと同時に触れている指を離す

弦に触る位置や、指を離すタイミングなどをちょっとずつ調整しながら、キレイに音が出るポイントを探していきましょう。

 

また、ナチュラルハーモニクスは楽曲だけでなくチューニングにも使えますし、ギターっぽくないキレイな高音が出るので遊んでるだけでも楽しかったりします。

是非動画も合わせて、ナチュラルハーモニクスをマスターしていきましょう!

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